「あーSTARFISHだ! 来てくれてありがとうー!」
「相変わらず格好良かったですー! あ、タンジェント60さんも本戦決まったんですよね?」
「そうそう、STARFISHも一緒で嬉しいよ~。初めての対バンが青春スターダム本戦ってマジすごくね?」
「あははは! そうですね!」
相変わらず緑の『tan60°』Tシャツにメガネの3人組。
みんな社交的でいい人だ。
「でも、ほぼ優勝バンドは決まってるっぽいよ。知ってる? 『山吹色の夢』ってバンド」
え? すごいバンド名だけど知らないなぁ……、と首を傾げていたら、
「あ、四国代表のギャルバンですよね。youtubeで見たら可愛くて格好良くてすごかったです」と良夫さん。
さすが良夫さん。
既に本戦出場バンドを全部チェックしているらしい。
「あのバンド、もうメジャーデビュー決まってるって噂だし、たぶん優勝させて売り出そうってなると思うよ」
「へぇー。そうなんですか」
「ま、もちろん俺らも優勝目指すけど、本戦で名前を売って、もっとガンガン活動するのも目的だしね」
へぇ……。
優勝バンドはほぼ決まっているのか。
そのことにショックを受けつつも、
とりあえずやるだけやるしか無いという気持ちと、
業界ってコネとか人脈とかもすごく重要であることを感じた。

