放課後。今日はバイトは休みだ。
駅前通りのゲーセンに入ると、
UFOキャッチャーやプリクラコーナーはカップルだらけ。
マシンの間をすり抜けながら、アーケードゲームやメダルゲームの奥へと進むと、
たくさんの鋭い音が響き合う音ゲー空間にたどり着く。
そこには、おおー、と感嘆の声を発している人だかりがあった。
あ、良夫さん、いた!
しなやかなスティックさばきで、
降ってくる光に合わせてバスドラ、スネア、シンバル全てを正確に叩く。
良夫さん、最初会った時から何キロくらい痩せたんだろう。
あの頃は王子3人分の幅はあったけど、今は1.5人分くらいまで減っていた。
しかも、制服のシャツを捲くった腕。
スティックを振る度に、筋肉が腕に浮かび上がっているように見えた。
「良夫さんー!」
プレイを終えた良夫さんにあたしは声をかけた。
「やっぱり……ゲームは面白いですが、バンドでドラム叩いてる時のワクワク感には絶対勝てないですね」
赤縁メガネにゲーム画面の光が反射している。
ハヒー、と相変わらず汗をかいているが、息切れはほとんどしていない。
たぶん体力トレーニングもしているのかな。

