ライブを見終わった後、受付の人に許可を取って、
ライブハウス出口でSTARFISHのフライヤーを配る。
「お、知ってるよこのバンド! ゆーたの本バンでしょ? 頑張ってね」
「ありがとうございますっ!」
おおお、怖そうな人が多いけど、
皆バンドが好きなのか、3人に1人はフライヤーを受け取ってくれた。
同じようにフライヤーやCDを配っている他のバンドマンとお話していたら、
「おい! おめー、髪の毛! まじか!?」
と、目を見開いて驚いているゆーたの姿があった。
次の日学校があるので、ゆーたは打ち上げには出ず、あたしと一緒に帰ることになった。
地元に近づくにつれて、電車の中は人が少なくなっていく。
窓の外も、ビル街から住宅街の明りへと
流れる光が少しずつ暗くなっていった。
「結構似合ってんじゃん。金髪っていーべ?」
「うーん。まだ何か慣れないなぁ。ま、あたし進学も就職もしないし、いーかなと思って」
ゆーたはずっと立っていたけど、ギターを足元に立てかけ、あたしの隣に座った。
「……何かわりーな。進路のこと」
向かい側の席は2、3人分の隙間が空いている。
外の景色が暗くなった分、向かい側の窓にあたしたちの姿が鮮明に映し出される。
ゆーたはその窓に映るあたしを見ていた。
もしかしたら外の景色を見ようとしてるのかもしれないけど。

