雑居ビルの地下。

階段を下るごとに、足元から体が震えるような低音が伝わってくる。


怖そうなお兄さんたちの中、受付をして、ライブフロアに続く重い扉を開けた。


うわ、格好良い!


ちょうどゆーたがサポートで入っているバンドが始まったところだった。


皆黒い衣装を着て、ラウドな音を奏でている。


ゆーたもサポートメンバーながらも黒いキャップとスウェット、カーキのハーパンと、バンドに合わせた衣装になっていた。


ベースは口元に黒地に白模様のバンダナを巻き、5弦のベースを奏でている。

ドラムも暗い衣装。手数が多く、スネアとタムとシンバルを連打する。


そして、2名ボーカル――ラップなのでMCって呼ぶのかな? が、時々シャウトを入れながらリズムに乗って言葉を捲し立てる。


こういった重めの音楽はあまり聞いたことが無かったけど、

音と迫力とステージングに圧倒された。


ゆーた、ラップ系好きって言ってたし、

見た目も音もこういうバンドとマッチするなぁ。


いやいやいや!

ゆーたはSTARFISHにいなきゃいけない存在だ。


でも、就職のことも含めて、少しゆーたが遠くに行ったような気がして、寂しい気分になった。