ふと、交差点から見える、ビルの大型モニターに、有名バンドの映像が映し出された。
大型夏フェスの常連で、ドラマやアニメの主題歌を歌うこともあるバンドだ。
でも、あたしはインディーズ時代(メジャーデビュー前)のCDの方が好きだ。
元々は心がヒリヒリするような鋭いサウンドだったけど、最近では分かりやすくキャッチーな曲ばかりになっているように思えた。
見た目も地味な感じだったのに、どんどんオシャレになりイケメン風になっていた。
それに準じてCDの売り上げは伸び、中高生から大人まで幅広いファンがつくようになった。
ライブハウスまでの道の中、あたしは考えていた。
……確かにライブをしたり、曲を作ったりすることは楽しい。
でもやりたいことをやって、楽しんでるだけじゃ、
いつまでも続けることはできないだろう。
もっとたくさんの人にSTARFISHを好きになってもらいたい。
バンドで生きていくためには、売れなければいけないんだ。
あたしが選ぼうとしている道は、相当な覚悟が必要なんだと改めて思った。

