「え……」 あたしが我に返ると、校内放送のチャイムの音と、 グラウンド方面からの、部活中の生徒の声たちが耳に入ってきた。 う、あたしの歌、やっぱり王子様には耳触りだったかな~。 しかも結構ガチで歌っちゃったし、恥ずかしぃーー!! でも……カラオケよりも全然楽しかった。 もうちょっと歌っていたかったな。 「貴也、どう?」 ギターを抱えたままのゆーたが、王子様を見上げて言った。 「ああ」 王子様がゆーたに視線を返した。 え……何だろ?