「……あ、あった」 急いであたしは携帯でこの曲の歌詞を見つけた。 「お、じゃあいくべ! っせーの」 「え……あわわ」 え、まだ心の準備が……! すると、王子様が頬杖をつきながら、 「おい、真面目に歌えよ。次は絶対笑わねーから」 と言って、再びあたしを鋭い視線で見つめた。 その言葉のおかげか、 5月の風に吹かれながら、あたしは自然に 携帯画面の歌詞と、ゆーたのギターに集中していた。