もう一度、曲の始まりを弾く。
突然心がざわついたのか、指の動きが鈍くなっている。
イントロのギターで音が乱れた。
「すんません、もう一回やります!」
歌に入る前、もう一度演奏を止めた。
せっかくカナタちゃんが選んでくれた、すごく素敵な曲なのに。
悔しい……。
でも、指がじんじんする。
痛い。
「…………」
中々演奏を再開しないあたしに
会場が次第にざわつき始める。
ライブ中のあたしではなく、素の自分に戻ってしまい、体に緊張感が走っていく。
指が、体が、震えてきた。
中には、席を立ってどっかにいってしまうお客さんもいた。
あ、待って……!
どうしよう!

