「…………」


「おい、あんまりあいつに深入りすんなよ」


あることに気がついてボーっとしていたあたしに、ゆーたが話しかけてきた。


「カナタちゃんのこと? な、何で?」


振り向くと、久々に鋭い目線をしたゆーたがそこにいた。


「あいつ、去年、貴也のストーカーしてたんだよ」


「え? そ、そうなん?」


「まあ、普通にライブ楽しんでくれてるだけならいーけど。めんどーなことにならねーよう気ぃつけろよ」


ゆーたはあたしにそう伝えた後、

対バンさんに話しかけられて、奥の方へ行ってしまった。


そういえば、王子。

以前、熱狂的なベイビーにストーキングされたことあるって言ってた。


それってカナタちゃん――?


まさかまさか。

普通のいい子なのに。



でも、一瞬見えた、カナタちゃんの写真フォルダ――

中味は全部、王子の写真だった。


しかもかなり顔をズームしたやつ。