「美緒……」
次は優しく囁くように、あたしの名前を呼ぶ。
ドッドッドッドッ、と鼓動が速くなっていく。
も、ももももしかして、あたし、チューされちゃうのーーー!?
どうしよう、拒まなきゃ!
でも、そのイケメンすぎる顔に迫られると、何も言えなくなる。
さっき、エッチな声を聞いたのもあって、
その動揺が続いているのかもしれない。
「目、閉じろよ」
おでこ同士がくっついてしまいそうなほどの距離。
王子が甘い囁き声であたしに命令する。
てかバンド内恋愛は禁止じゃなかったっけ?
うーー!
そんなこと今は考えられないよぉ。
早くなる鼓動とともに、体の芯の部分が熱くなっていく。
やばい、体が動かないよ……。
あたしは目をつぶった。

