自動販売機近くにベンチがあるので、水を買ってそこに座った。
目の前に広がる駐車場には、ハイエースを中心にまばらに車が停まっていた。
「…………」
何となく、あたしはさっきのあえぎ声が頭に染みついて、いたたまれない気持ちだった。
「あははっ、お前には刺激が強すぎたかもな」
隣に座っている王子が、ケラケラと笑っている。
「しょーがないじゃん。皆と違ってあたしモテませんから」
「……美緒」
ぶーぶー言っているあたしに対し、王子は珍しくあたしの名前を呼んだ。
気がつくと、王子の顔が目の前にあった。
――え?
「な、なに……?」
真剣なまなざしであたしを見つめる王子。
ちらっとだけ、その顔を見たけど、
だめだ、至近距離だとやっぱり見れない。
だって格好良すぎるんだもん。
あたしは生唾を飲んだ。
と同時に、どくん、と心臓が鳴る。
そのまま王子はあたしの肩に手をかけ、更に体と顔を近づけてきた。
ええーーー!? 何これ!

