え……?
夏の日の夜。
星空のムード。
言葉なんていらないのね、きっと。
と、ちょっとポエマーな妄想をしていたが。
「……、……っ」
セミの声の合間、
コテージ奥の森の方からかすかに女の声が聞こえてきた。
ヒィィィィ!!
もしや夢かなえられずにお亡くなりになったミュージシャンの方ですかぁああ!?
後ずさりをして、王子の後ろにまわりこむあたし。
しかし、よーく耳をすましてみると、
「……っ、……んっ、……あーん」
ええええええ!?
なんちゅー、いやらすぃー声!!
奥のコテージに泊まっている大学生たちの誰かかな。
あたしは目を見開いたまま、全身が固まってしまった。
「はぁーあ、外でヤるなよ。……何か腹立つな」

