「良夫さん、せっかくお風呂入ったのにもう汗だくじゃんー。王子もちょっと持ってあげたらー?」


小さな商店街を抜けて、コテージに戻る道を歩く。

良夫さんは買い物袋を両手にかかえていた。


「ハヒー、いいんです。これもトレーニングの一環です~」


もともとは、肉だらけだった良夫さんの腕。

今ではうっすら筋肉が見えるほどだ。


「STARFISHやる前は、心身たるみきってましたし。ライブで全力出すのに、体力と筋力がまだまだ足りないんです!」


「えええ、今のままでも十分すぎると思うけど~」


「いや、まだまだです! もうちょっと痩せたら本格的に筋肉つけていきますよ~」


良夫さん……すごいなぁ。

きっと、ダイエットもトレーニングも大変だよね。

でも、メガネの奥の表情は楽しそうだ。


「おい、チビデブ……」


良夫さんと話していたら、すぐ後ろからドスの効いた王子の囁きが聞こえてきた。

ヒィィィ!!