「はふぅ、やっと終わった……」


ようやくあたしのギター録りが完了した。


残すは、あたしの歌だけ。

って、またあたしの出番かいーっ。


「ボーカル録り用に色々準備するから、ちょっと休憩してきていいよー」

「はい、ありがとうございます」



休憩中、気晴らしに建物の外に出てみた。

木々の奥に夕日が沈もうとしているのが見える。



「あー、夏休みももうすぐ終わりかー!」



ゆーたがコーヒーを片手に伸びをしていた。

黒髪が夕日によって色が透けて、茶色に光っている。



「練習にライブにバイトにレコーディング準備に、本当あっという間だったよねー」


あたしが、その背中に向かって声をかけると、


「……おめー、こんなに毎日充実してんの、初めてじゃねーの?」


と、横目であたしを見ながら、ゆーたは言った。


「うん、確かに。どんどん忙しくなるし大変だけど、楽しいし頑張らなきゃって感じ!」