「す、すみません! ミスりました」


「あ~~。もう1回お願いします」



あああああ、全然上手く弾けないーーー!

途中で指がもつれたり、鳴りそこねの弦がペシっと鳴ったり。


録音をして、改めて聞くと、自分のギターの下手さと粗さがよくわかる。


『レコを甘く見るなよ! ドツボにはまると地獄だからな』


王子が言っていたことって、これか。

先に録った3人の音に合わせて、あたしもギターを奏でる。


しかし。

「あっ、変な音鳴っちゃった!」

またミスったーー! 


「はーい、慌てなくて大丈夫だからねー」


隣の部屋から、ヘッドフォン越しにヒラモトさんの優しい声が聞こえてくる。


と、同時に

「チビデブ、気合い入れろ、気合い!」

王子のスパルタボイスも聞こえてきた。


ヒィィィィ!

王子がイライラしてきてるーー!