「美緒ちゃんって子、いるかな?」 放課後、突然王子様があたしの教室にやってきた。 「キャー! 貴也様ーーー!」 クラスの女子たちが興奮し出す。 いやいや、みんな落ち着いて。 あんなの王子様じゃあないんだよ。 ……ん、じゃなくって、 美緒ちゃんって子、いるかな……って。 あ、ああああたし!? 「何で美緒なんかに用があるの!? キーッ!」 教室の隅から、女子たちの嫉妬ボイスも聞こえてきた。