「お前ステージに出る自分に緊張なんかするなよ! お客さんに良いライブ見せれるかどうかで緊張しとけよ!」
鏡越しに、王子が力強くあたしに言った。
「は、はいっ!!」
「ほら、良夫見習って、お前も笑ってステージ出ろよ」
え? あたしは後ろを振り返った。
そこには、
「ふふ、ふむふふふ」
とニヤニヤしながら、
ドラムスティックでテーブルをカツカツ叩く良夫さんがいた。
ヒィィィ‼︎ なんか怖いんだけどー!
「いやー嬉しいんですよ。ライブできるなんて感動です! しかもこのライブハウス憧れてましたし」
と良夫さんが目に涙をためながら、そう言った。

