「か、格好いいねーーー!」
と、思わずあたしは良夫さんに耳打ちする。
「うーん、ドラムが走りすぎてますし、ギターはチューニング微妙ですね。ベースは歌は上手いですが歌うと少しずつリズムがずれてくような気がします」
良夫さんは腕を組みながら、冷静にそう分析していた。
え? 普通に上手いと思うのにーー?
「おいっ、あんなん見てたらクソもらすっつーの。ほら次俺ら出番だし、準備するべ」
「あいたーっ」
そう言って、ゆーたがあたしの頭をぺしっと叩いた。
おお、そろそろ出番だー。
ステージ脇の楽屋に向かう。
壁一面が鏡になっていて、ステージにつながる細長い空間。
他のバンドの機材も置かれているため、
ぶつからないように気をつけながら中に入った。

