この風景を何度眺めたんだろう。


僕は毎日この海を見つめる。


今まで海なんてくることもなかった。


あの頃、僕は…


そう、中学生の僕は空を跳ぶことばかり考えていた。


毎日、毎日…


高跳びだけでは物足りなくて始めた棒高跳び。

バーから伝わる振動が自分の鼓動とシンクロした時に僕は空を跳ぶ。


マットに落ちるまで見える空は、僕だけの空のように思えた。


跳ぶたびに記録が伸びていった。


まるで風の神様が後押ししてくれているように僕は感じていた。


試合ではトップになるのがあたりまえのようになっていった。


でも、一位になるということなんてどうでもよかった。


ただ、もっと高く、もっと長い間、空にいたかった。