わたしが変な汗をかき始めた時、やっと口を開いた人物。

もちろん真ちゃん。


「“真ちゃん”って言うな」


初めて聞いたその声は低くて甘い。

とても魅力的な声だった。



「え?」

「あら。意地悪はダメだよ?」


わたしは声音にばっかり気がいって、内容は後回しになってしまったから反応が遅れた。


何?真ちゃんって呼んだらダメなの?

だっておばあちゃんが呼んでるから…。



「…ごめんなさい」

「あら。瑠夏ちゃんも気にしなくていいのに」


…こんな怖そうなお兄さんにそんな事言えちゃうおばあちゃんは最強だと思った。