「さっ。疲れたでしょ?上がって上がって」 「え…?」 上がるの? お化けがいつ出るかも分かんない家に上がるの? 「ささっ!どうぞー」 おばあちゃんはわたしの手を引っ張って、わたしを家の中に引き込んだ。 家の中は春なのに冷えた空気がヒューっと通る。 玄関から奥まで真っ直ぐ続く一本の廊下は両面を部屋に囲まれて光が届きづらいのか薄暗い。 正に“出そう”だ―――。