なんだろうアレは。 真が知らない人になってしまったみたい。 遠い。 凄く遠い―――。 横断歩道の信号が青に変わると人々は動き出す。 真も動き出す。 真のサラサラな黒髪がその振動と春の風で靡(ナビ)いた。 近付いてくる。 真がだんだんと近付いてくる。 だけどわたしには気付いていない。 髪と同じ漆黒のその瞳は凛と前を見据えてる。 ……真はきっとわたしには気付かない。