バスが来るまでの時間、わたしはただボーっとしていた。

何かを考えるでもなく、ただボーっと道を走る車だったり街を行き交う人だったりを見ていた。


そして見つけてしまった。

バスが停まる筈の道の向こう側の歩道に見知った顔を。



―――――真だ。


真はスーツ姿で信号を待っていた。

スーツ姿なんて始めてみた。


ホストでもしてるのかと一瞬思ったけれど、そんな類(タグイ)のスーツ姿じゃない。

チャラチャラしてない。

高級そうなスーツをピシッと着こなしている。

普段おばあちゃんチでは見ない真の姿に大人を感じた。


“大人の男”とはこういうモノだと言っているようだった。