だけど家にいたって学校にいたって同じか。

家にいたってわたしは1人だ。


真がわたしを邪魔だと思っていない事は充分分かった。

だけどやっぱり真はわたしを放って毎日どこかに出掛ける。


“いつもどこに出掛けているの?”

そう訊けばいいだけの事かもしれない。

だけどその一言がわたしは言えずにいた。

訊いていいものか分からなかった。



放課後の教室に担任の先生と2人きり。

補習は課題の問題を教科書を見ながら自力で解くというものだった。

担任の先生は教壇に椅子を持ってきて座り、腕を組み目を瞑っている。

寝てるのかもしれない。


廊下からはまだ若干残っている学生達の笑い声が響き、校庭からは部活動の声が微かに聞こえてくる。

ただ、教室内は静か。

わたしの教科書を捲る音と、ペンを走らせる音。

それだけ。


だけどなんだか居心地が良かった。

誰もいないおばあちゃんチより。

誰もわたしを見てくれないクラスより。

ほんの少しだけ、居心地が良かった。