「おいっ…ちょっ、ちょっと待てやッ」



息を吸うこともわすれて、ただ追い走る



「……」



「おいっ…」



捕まえた…



手首を痛い程握りしめる



「痛いよ、果梨…」



振りほどこうと手を動かす



しかし、握りしめた手の力に勝てる訳もなく



もう、逃げる場所はなくなってしまった



「何だよ…さっきのアレは…。本当に…野球辞めちまうのか?」



果梨の声はなんだか震えているように聞こえた



「さっき言った通りだよ…あたしは選手じゃなく、マネージャーとして野球と関わるって…」



「なんで選手辞めんだよ…」



「だから、体力の限界だって言ったでしょ?」



果梨の顔が見れない



果梨に背を向けて、問いに答えていく