「どうしたんだ?ため息なんか出して」



「先生…」



尾崎太一先生



あたしの主治医になる人だ



「どうしたって…お母さんがあんな調子だから呆れて」



「はははっ。茜ちゃん、仕方ないよ。お母さんだって心配なんだろうから」



「先生まで…」



尾崎先生はたぶん30代前半



黒ぶち眼鏡を掛けている



「まぁ…お母さんの気持ちを少しは感じなきゃな」



先生がまた笑う



気持ちを感じなさいって…