こんなに好きなのにっ!!

【ユナ】



恋なんかしなきゃよかった…。



リオ君にも悠ちゃんにも。



「ユナ、一緒に帰れる?」

「うん…」

「なんだよ。元気ねぇな」

「そんなことないよ?今準備するね」



珍しくリオ君が部活に出た。



一緒に帰るのは珍しいことかもしれない。



「うまっ!!」

「リオ君っておいしそうに食べるから作り甲斐あるね」

「甘いものってそんなに好きじゃなかったけどユナが作るのうまい」



チョコチップマフィンを食べるリオ君の隣を歩き、学校を出ようとした時…。



見たくないものは突然現れた。



「夏川先輩と琴里さんじゃん」

「倉…市…」



悠ちゃんと目を合わせられない。



気付かれないように頭を下げた。



「久しぶりだね、リオ君」

「琴里、行こう」

「まだいいじゃん…」

「琴里んち行くから」

「う~ん…。じゃあまたね」



琴里さんの態度がおかしいことに気がついた。



あたしを見ない…。



無視というより、いない存在にされた気分だった。