「その生真面目な顔を見られるようになって、余は嬉しいぞ。まだ長旅の疲れも残ってるだろう、あまり無理をするなよ」
満足げに頷いてから「おお、そうだ」とマクシムは話を切り替え、みなもに視線を移した。
「レオニードから話を聞いたが、みなもの仲間は北方の人間に襲われ、離れ離れになったそうだな」
わずかに目を伏せ、みなもは小さく頷く。
「はい……八年経った今も、仲間の足跡はおろか、生死も分かっていません」
「王の名と誇りにかけて、ヴェリシアの人間が襲っていないことは断言しよう。それから、バルディグの情報も手に入れ次第、みなもに伝えることを約束する」
レオニードの話を疑っていた訳ではないが、王から直々に言って貰えると心強い。
みなもは「ありがとうございます」と一礼した。
顔を上げると、マクシムの口がさらに言葉を紡いだ。


