「奴らの目的は、コーラルパンジーだろうね。盗られなかった?」

「ああ、大丈夫だ。盗られる前に追い返した」

「それは良かった。ここまで来て、また新しい物を調達するのは大変だからね。……じゃあ部屋へ戻ろうか」


 みなもは話を切り上げ、扉が開いたままの部屋の前に立つ。
 中は見るも無残な状態だ。
 部屋中ガラスの破片が飛び散り、床は足跡だらけ。ベッドも派手に傾いている。

 そんな部屋で、浪司がうつ伏せでベッドに倒れていた。

「浪司、大丈夫か!?」

 慌ててみなもが駆け寄ると――浪司の腹がぐぐぐぐうぅぅぅ、と大きく鳴った。

「アイツら、余計なことしやがって……ああ腹減ったー」

 ……うん、無事で何より。
 ようやく安堵して、みなもは「自業自得だよ」と浪司の背中を叩いた。