いつもと変わらず、のどかな時間が流れていた『久遠の花』の隠れ里。

 そこへ突然、数多の兵士が流れこみ襲ってきた。

 肌が白い、金や銀の髪をした兵士たち……どの国の兵士かは知らないが、北方の人間だというのは分かった。

 里を守ろうと『守り葉』は奮戦したが、何故かこちらの攻撃が相手に通じず、一人、また一人と『守り葉』は斬られ、命を落としていった。

 子供だけでも逃がそうと、大人たちは盾になってくれた。
 けれど、みなもが後ろを見た時、大人たちから血飛沫が上がり、その場に崩れ落ちていく姿が見えた。

 その中で、遠目でも自分たちの両親が殺されたと分かった。

 咄嗟にみなもは引き返そうとした。
 けれど、手を引いてくるいずみの力が強くて、遠ざかることしかできなかった。

 盾である『守り葉』がなくなれば、『久遠の花』は逃げ惑うしか道はなく、捕えられるのは時間の問題だった。
 だから、力を悪用される訳にはいかないと、逃げられない『久遠の花』は自ら命を断っていた。
 大人だけでなく、子供までも――。

 そんな状況の中、みなもは姉に手を引かれて森へ逃げこみ、今に至る。