「お城で働いている知人から、色々とお話は伺っておりますわ。解毒剤が作れるようになったのは、みなもさんのおかげだって」
城の外にもその話が広がっているということは、少なくとも城下街ではちょっとした有名人になっているのか?
あまり目立つのは好きではなかったが、喜んでもらえるのは嬉しい。
自然とみなもの口端が上がり、胸が春の陽だまりのように温かくなる。しかしエマの話を続けると、
「それに、旅の途中でレオニードさんと恋仲になったことも聞いておりますわ」
ふと眉間に深いシワを刻んだレオニードの顔が浮かび、みなもの頬が引きつる。
まさかこの噂がこんなに広がっているなんて。
城内だけならそんな噂を面白がる余裕はあったが、さすがに城下街まで拡大すると頭が痛くなってくる。
事情を知っているゾーヤが、苦笑しながらみなもへ肩をすくめる。口は開かずとも「あらら、大変ねえ」という声が聴こえてくる気がした。
……楽しそうだな、ゾーヤさん。
みなもがそう思っていると、エマが妙に目を煌めかせながら、こちらの腕をポンと叩いた。
「色々と障害はあると思いますが、負けないで下さいね。私たちはお二人の幸せを全力で応援していますから、何かお手伝いできることがあればいつでも言って下さいね」
よくよく見ると、他の針子たちもエマと同じような目をこちらに向けている。
本当は女なんだと分かったら、むしろガッカリされそうな気がして何も言えなかった。
城の外にもその話が広がっているということは、少なくとも城下街ではちょっとした有名人になっているのか?
あまり目立つのは好きではなかったが、喜んでもらえるのは嬉しい。
自然とみなもの口端が上がり、胸が春の陽だまりのように温かくなる。しかしエマの話を続けると、
「それに、旅の途中でレオニードさんと恋仲になったことも聞いておりますわ」
ふと眉間に深いシワを刻んだレオニードの顔が浮かび、みなもの頬が引きつる。
まさかこの噂がこんなに広がっているなんて。
城内だけならそんな噂を面白がる余裕はあったが、さすがに城下街まで拡大すると頭が痛くなってくる。
事情を知っているゾーヤが、苦笑しながらみなもへ肩をすくめる。口は開かずとも「あらら、大変ねえ」という声が聴こえてくる気がした。
……楽しそうだな、ゾーヤさん。
みなもがそう思っていると、エマが妙に目を煌めかせながら、こちらの腕をポンと叩いた。
「色々と障害はあると思いますが、負けないで下さいね。私たちはお二人の幸せを全力で応援していますから、何かお手伝いできることがあればいつでも言って下さいね」
よくよく見ると、他の針子たちもエマと同じような目をこちらに向けている。
本当は女なんだと分かったら、むしろガッカリされそうな気がして何も言えなかった。


