◇◇◇◇◇◇◇◇◇
雨が数日続いた後。ようやく空は晴れ上がり、春の陽気が戻ってきた。森は活気づき、鳥のさえずりも一際賑やかになる。
浪司は「買い出しに行ってくるぜ」と言って、朝から街に出かけてしまった。
レオニードと二人きりになるのは不安だったが、せっかくの好天を楽しみたいという気持ちは分かったので、みなもは黙って浪司を見送った。
レオニードもあれから回復して、ゆっくりだが歩けるようになった。久々の天気だからと、みなもは彼を小屋の前にある切り株に座らせ、穏やかな日差しを浴びさせる。
「久しぶりの外だから、気持ちいいだろ?」
背伸びをしながら、みなもはレオニードに声をかける。
返ってきたのは――沈黙。
あれからレオニードは、みなもに何も聞こうとはしなかった。今まで通り最低限の会話と、沈黙しかない。
どうすれば話をしてくれるだろうか。
みなもが探るように横目でレオニードを見ると、彼は眉間に皺を寄せて遠くを眺めていた。
(もう少し肩の力を抜いたほうが、傷の治りも早いのにな)
どうしたものかと、みなもは首を傾げて考える。ふと、今日の夕飯のことが頭をよぎり、「あっ」と声を上げた。
「レオニード、ちょっと一緒に来てくれるかな? 今から湖に行って魚を釣りたいんだ」
気難しそうな顔を変えずに、レオニードは首を振った。
「すまないが、今はそんな気に……」
「少しでも体を動かしたほうが、早く回復できるよ。ついでに食料も確保できるしさ」
みなもの言葉にレオニードの耳が、ぴくりと動いた。
「……分かった」
小さくて不本意そうな声だったが、心なしか彼の顔が緩んだように思えた。
雨が数日続いた後。ようやく空は晴れ上がり、春の陽気が戻ってきた。森は活気づき、鳥のさえずりも一際賑やかになる。
浪司は「買い出しに行ってくるぜ」と言って、朝から街に出かけてしまった。
レオニードと二人きりになるのは不安だったが、せっかくの好天を楽しみたいという気持ちは分かったので、みなもは黙って浪司を見送った。
レオニードもあれから回復して、ゆっくりだが歩けるようになった。久々の天気だからと、みなもは彼を小屋の前にある切り株に座らせ、穏やかな日差しを浴びさせる。
「久しぶりの外だから、気持ちいいだろ?」
背伸びをしながら、みなもはレオニードに声をかける。
返ってきたのは――沈黙。
あれからレオニードは、みなもに何も聞こうとはしなかった。今まで通り最低限の会話と、沈黙しかない。
どうすれば話をしてくれるだろうか。
みなもが探るように横目でレオニードを見ると、彼は眉間に皺を寄せて遠くを眺めていた。
(もう少し肩の力を抜いたほうが、傷の治りも早いのにな)
どうしたものかと、みなもは首を傾げて考える。ふと、今日の夕飯のことが頭をよぎり、「あっ」と声を上げた。
「レオニード、ちょっと一緒に来てくれるかな? 今から湖に行って魚を釣りたいんだ」
気難しそうな顔を変えずに、レオニードは首を振った。
「すまないが、今はそんな気に……」
「少しでも体を動かしたほうが、早く回復できるよ。ついでに食料も確保できるしさ」
みなもの言葉にレオニードの耳が、ぴくりと動いた。
「……分かった」
小さくて不本意そうな声だったが、心なしか彼の顔が緩んだように思えた。


