「だから、紫輝さんの写真を見たとき…この人と結婚して幸せになれるって信じてました。」


「違うって…」


「私は写真のあなたに恋していました。だけど…」


「現実は違うってわかっただろ?」


現実……


「はい。」


「色んな男を知るべきだ。あんたは…あと両親の言いなりになることが幸せじゃない。そりゃあ、親がひいたレールの上を歩くのは楽だしいいよ。けど、幸せか?それは…」


幸せ、だと信じていた。
両親のひいたレール。
少し不自由だけど……いつも両親が笑っているから幸せ…だと思っていた。


「自分の力で掴むんだよ。幸せは…」


自分の力?


「あんたにはわかんないかもな…次の婚約相手と結婚して幸せにしてもらえば?」


と、告げて…彼はカフェを出ていった。


幸せってなに…?


私が信じていたものは…
大好きな彼の言葉で全て崩れていった。