「――…誰?」


炬燵が隣から盗み見をして、首を傾げた。


「あー、後で見るわ。さっさと行こうぜ。遅刻しそうだし」


手早く封筒を鞄に押し込み、腕時計をみる。
8時15分。遅刻は、8時30分から。つまり、あと15分。

「へっ!!?嘘、やだ、遅刻しちゃう!!白卯っ、無欠席無遅刻無早退に傷がついちゃうわっっ!!」

ギンッ、と柔和な笑みが一変。鋭いまなざしになり、クラウチングスタートの格好をすると、

「はっ!!?ちょ、炬燵!!?」
「生徒会長として、嫌だあああああっ!!」

脱兎の如く走りだした。
そんな炬燵を遠目に、深く溜息をつく。


完璧といえる炬燵の裏は、正義感が強く、偽善者自己犠牲。自分の利己の為に動く。人のために良いことをして怪我をしても、"いい人"と言われれば結果オーライ。
正義感赴くままにに、自己犠牲をし、怪我をしながらも良いことをする。それも、自分がまわりから慕われる為に。



何故かは分からないが、そのこともあり、いつも人に囲まれている。
――いつからそうだっけ?

そう考えながら俺も歩きだした。学校までは10分でつくし、大丈夫だろう。

そこで、先ほどの封筒を手にとり、封を破った。


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