~渓side~


知らなかった


茜の過去の話も

お粥を食べたことないことも



やっぱり俺は茜のこと全然知らなかった


そしてこんなに茜が甘える姿も



普段は睨みつけてばっかりなのに

今日はやけに素直で




「渓助けて。」


なんて涙目で言われちゃ

助けない訳にはいかない



ま、茜が何も言わなくても

助けてやるけどな




今、すがりつくように俺にくっつく茜は

何処か弱々しく


切なく悲しい顔をしている




「渓、この気持ち何だろう。

切なくて悲しくて苦しい。」


茜が寂しそうな顔を俺に向けてくる



答えられなかった


俺は茜と違い何不自由なく

今まで過ごしていたから



「俺にも分からない。


だけどもし不安で

押しつぶされそうになったら

俺が何時だって助けてやる。


守ってやる、傍にいる。」



これは本心。