相変わらず眼つけてる茜は

ため息をこぼし、何故か話し始めた。



いつもなら絶対にしない自分の話し




「窓から空を眺めてたら、小さい女の子が声をかけてきて。

風船を取って欲しいって。


もう少しで取れたのにお前らの所為で。」



呆れたように俺を見る目は俺を映してなんかいなかった


茜の瞳の奥

悲しい色で染まるのを防ぐように、真っ黒に塗りつぶされていた



「ごめん。ちょっと俺ら飲み物買ってくる。」



これ以上ここには居られない


茜は誰も信じないって思ってる



俺は俺を不思議そうに見る二人の腕を掴んで病室をでる




茜は通り過ぎる俺を見ずに小声で言った


「ありがと。」



泣きそうになったのは誰にも秘密



自動販売機までに引っ込めなきゃ