狼少女と王子様



私が見たのは紛れも無く遊園地で会ったあの子で


妹ではない。


何度見ても、葵にそっくり。




葵ちゃんは私に近づいて頭を下げた。



何のことか分からない私は言葉を待つ。



三人も首をかしげている。



「ご、めんなさい。

嘘、ついてて。ごめん、な、さい。」



「どういうこと?」




ごめん?


なんでこの子が謝るの?




その子は涙をいっぱい溜めた目で私の手を握る。




私は混乱したままだったけど、次の言葉で全部分かった




「許してくれなくてもいい。

せめて、真実を聞いて。


“お姉ちゃん”」




お姉ちゃん?



葵?



本当に?




私は手を解いて葵の首をみる


葵っ


葵だ。




ずっといたら分かる。

ずっと見ていたから分かるよ葵。





あなたの傷


天使みたいな羽の傷。