コンコンッ
「葵、大丈夫?」
お姉ちゃんが入ってきて
胸が痛む
知らない、お姉ちゃんはあれがお父さんじゃないって
お姉ちゃんは私の顔をじっと見て笑った
「葵が無事で良かった。
栞ちゃん早く起きないかなぁ。」
まだ、知らないんだ
お姉ちゃんは知らない
お母さんが死んだ事
何ひとつ
それが優しさだと知らなかったのは
私だった
「ねぇ、お姉ちゃん。
お母さん戻ってくる?」
お姉ちゃんは困ったように視線を逸らす
だけどすぐ笑って
「すぐ戻ってくるよ。」
そう言った
知らないと思っていたんだよ
お姉ちゃんがスカートをいじっていなければ
「嘘つき。
知ってたんだ。」
私が呟いた言葉なお姉ちゃんはびくんっと肩を揺らす
私は悲しいという感情をよく理解できてなくて
だだ、心のもやもやを
怒りに変えて吐きだすしか出来なかった
「私は何も知らないだろうって思って嘘ついたわけ!?
馬鹿にしないでよ。
嘘つき、お姉ちゃんなんか大嫌い!」
私は病室を飛び出してひたすら走った。
体中が悲鳴をあげてるけど
これはいつものこと
痛いのは慣れた。
体が痛いのは。
痛いっ
私、知らない。
心が痛くなるなんて知らない。
お姉ちゃんは嘘をつくとき着ているものをやたらといじる
ずっと一緒に居れば分かる癖
私は息が苦しくなって座り込んだ
「葵ちゃん!?
こんな所で何してるの?
まさか、病室飛び出したの?」
「ねぇ、私分からない。
お姉ちゃんが、私自身が。」
最上のお姉ちゃんは私をぎゅっと包み込む
私はその温かさで安心したのか
そこで意識が途切れた
私は無事退院して最上家に
お姉ちゃんは橋本家に
引き取られる事になる
橋本家には女しかいない。
だからなのかは知らないけど
すごく秘密主義
お姉ちゃんの家族である私にさえお姉ちゃんの居場所を教えてくれなかった
探していた。
私はお姉ちゃんを探してた。
私の言葉で傷つけてしまったことを今でも悔やんでいる。
私は中学生になるとお姉ちゃんを探すのを止めた。
きっとお姉ちゃんは私を恨んでる。
そう思ったら足が震えて一歩が踏み出せなかった。
私の言葉も、もう届かない。
あれがお父さんじゃないなんて信じてくれない。
私は、泣き疲れて眠った
明日からまた同じ生活が続くのか。
お姉ちゃんを心の中で探して、見つけてくれるのを待ってる。
だけど、会えたとしても嘘しか言えない。
どうしようもないな私。
「葵どこ?」
お姉ちゃん?
ここは夢だよね。
「お姉ちゃん!私はここにいるよー!」



