狼少女と王子様

真実。



お父さんはお母さんを殺してなんかいない





そう、数年前私とお姉ちゃんはお父さんに沢山傷つけられた


ご飯はなく


私は金属バットでお姉ちゃんは椅子だった



事故を起こされお母さんは死んだ




そう、間違ってなんかいない


これは本当に起こった事


覆す事なんて不可能だった




はずだった





私は病室で目を覚ました


病室の扉の外に親族達の声を聞く



「なんで栞はあんな奴に茜と葵を預けたんだ。


儂らが育てるという意見を押し切ってまで。」



その声は私の大好きな爺ちゃんのもので


爺ちゃんは声が良く通るから私に丸聞こえ




「あの男。

元彼に脅されてたのかも。

ねぇちゃん何でも一人で抱え込んじゃうから

私達に言わなかったのよ。



それに巻き込みたくないって。」



最上のお姉ちゃんが混乱したように爺ちゃんに放つ


泣き声混じりで。



私は何か悲しい事でも起こったのかと

不思議に思う




答えはすぐに分かった


もう泣き声でかすれたものだったけど


爺ちゃんが精一杯叫んだから



「分かっておる!

じゃが、茜と葵は栄養不足で全身痣だらけ。


更にこの事故じゃ。


茜はもう死んだ目をしておる。

誰も信じられんような目じゃ。



葵に至っては死にかけた。


なぁ、なんでじゃ。


なんで、


“栞は殺されたんじゃ!”


死んだんじゃあーぁ。」




死んだ。


お母さんが死んだ。



「あの男のせいで茜はもう儂らさえ、

怖がり、憎んでいる。


真実は話せないなぁ。

あの子の傷に塩を塗る訳にもいかんし。


男がいるだけでパニックを起こしてしまうらしい。


それに、もう信じてはくれんだろう。


儂らの言葉など。」



爺ちゃんは悲しそうに扉の前から立ち去る



お姉ちゃん、お母さん


私は数時間呼吸もしなかったように固まっていた