僕は茜の全部を知ってる訳じゃないけど

渓以外に負けるとは思っていなかったから


僕は唇を噛み締め新聞を強く握りしめ

茜が黒板を見て固まった理由が分かった



「今すぐ黒板に書いた事撤回してこいよ。」


今までで一番低い声


この時からかもしれない僕が俺と言うようになったのは


こんな事から茜を守りたくて

渓がいなくても一人で
守りきれるように


「ねぇ!聞いてるかな?」

「っ。」


女だろうが茜の友達だろうが許さない

茜を傷つけたら
傷つけようとしたら



畑さんは俺の低い声で少し身体をびくつかせたけど


少ししたらまた笑って俺に問う


「そんなに撤回して欲しいのその記事のこと。」

「当たり前だろ!」


畑さんは少し考えるような仕草をして俺に近づいて


そして俺を鋭い目つきでみた


「撤回してあげる。」

「本当に?」


俺がまだ何か言いかけると
手を広げ目の前にだしてきた



「ただし、条件がある。
それは海様が私の事務所でモデルをすること。」
「なっ。」

「それと海様の婚約者は私が決める。」


ふざけるな

どういうつもりだコイツ


ただ俺の家が目当てなら婚約者を自分にすればいい

なのにどういう事だ?