~海side~

「いやぁああああああ!」


茜の叫び声が今も耳に残って離れない

今いる保健室にもこだましている感覚さえする




気の強い茜があんな風になったのは

茜のお父さんが起こした事件の時以来


「海、俺たちがずっと守ろうぜ。」



渓が僕の肩に手をおき
茜を見つめる


心配そうな声と少し震えている身体

あぁ、同じなんだと
僕は少し安心した


「海、渓っ。」


ドキンッ


辛そうに僕たちを呼ぶ声があまりにも

弱々しく

柔らかくて


思わず胸が高鳴っていく



本当はこんな気持ちになっている場合じゃないんだけど


どうしたって身体は正直で


ドキドキしながら茜の手を握る


少し汗ばんだ手がだんだん僕の手を強く握ってくる


「茜?」

「どこにも、いか、ないで。」


目は開いてない


寝言?

それにしても
悲痛な叫び