狼少女と王子様



みんなからの冷たい目

いつもなら睨み返せるのに


私にとってこれだけは言い逃れ出来ない


“事実”


いつもこんな日は外の空気も周りの空気も冷たい


体が震えはじめてしまった


呼吸も荒くなっていく


「茜!?」


しゃがみこみそうな私を2人が支えてくれる


2人が来たことで気が抜けて
力が入らなくなった



「大丈夫落ち着いて。」


穏やかな海の声


「いったいどうしたんだ?」

力強い渓の声



だだそれだけなのに涙が溢れそうになる



視界がぼやけるとあの時の事を思い出す


目の前の火の海

倒れている葵と栞ちゃん


薄ら笑いをしていたあの人


「いやぁああああああ!」


私は学校中に聞こえそうな声で叫んだ


意識を失う瞬間に見えた
朱里の不適な笑み


なんとなく分かってしまった


あぁ、朱里は私から2人を奪いたかったんだと