狼少女と王子様




それはあいつがやたらと私に絡み数ヶ月がたった頃



朝、学校に来てみれば
周りがざわついていた


教室の黒板

でかでかと書かれた文字



私は周りの音が聞こえなくなった




目の前もなにもかもスローになって


まるでテレビを見ているみたいだった


近くにいた海と渓にも気づかない程に思考が止まっていた


「茜?」


びくんっ


声をかけられただけで肩が上がる


どうしよう


体が動かない

声もでない


ただそこに立ち尽くすしかなかった


「大丈夫?」


2人の心配そうな顔が私の瞳に映る


あ、今学校


意識が戻って鮮やかな景色が広がる


それと共に痛い程の視線と声が聞こえた


「橋本さんってそんな人だったんだ。」

「ねぇ。知らなかった。」



ドクンっドクンっと高鳴る鼓動と嫌な汗