あんたが茜にあんな事言うから

茜があの頃みたいな冷たい目をしたんだから





それにいくら相手が
茜だからって情けなさすぎ


それでも体育教師なの?


そう解いたくなったが
ぐっと言葉を飲み込んだ




さすがの私でも先生への暴言は許されない


しかも、先生が女子生徒に
やられたなんて
あまりに酷いから



「私から理事長と茜に言っておくので
先生は報告しなくていいです。」


「おぉ。」



私は河井を内心見下しながら
冷静に言葉をこぼす




変なこと言わないように釘をさしておかなきゃ



もし先生が変なことを言って
茜が退学するのはいくらなんでも
耐えられそうにない



だから


先生にむかついていたけど
にっこり笑って先生の腕を引いてみせる



「悪いな。」


「いいえ。」



河井は酔っ払ったおっさんのように
ふらふらと廊下を歩いて何処かに行ってしまった





私は茜の姿を思いうかべて
廊下に突っ立ていた






この時茜をちゃんと見ていれば


あんな思いしなくて良かったのかな?



茜の苦しみに気付いていたら
あんな事にならなかった



ごめんね。




私は茜を全然分かってなかった