「出ていけ!

もう、私の前に現れないで!」



渓は渋い顔をして渋々部屋を出て行った


静かになった部屋


苦しい気持ちが

スッとなくなっていった



やっぱり男なんて信じて

良い事なんかない



あんなに苦しい


思い出すとまた胸が痛くなる


胸を押さえたって痛みは減らない



殴られていたあの頃と
同じ様な痛みが私を襲う


ズキズキと胸を刺す


どうしてこんなにも痛いの?



どうでも良い奴だったら

何も感じないのに



クラスの男子だって

あの菜々絵にだって


自分から突き放しても
こんな痛みはない


窓を開けて空を見たら


少し雲がかかっていて

月がぼやけて見えた


涙のせいなんかじゃないんだよ


雲のせいなんだよ


自分に言い聞かせて眠りについた