智哉と別れた翌日。

私は智哉が講義だと知っていた時間にスポーツジムへ行き、退会した。




“会いたくない”じゃない。


“会えない”
もう、二度と。




智哉の優しさにすがりつくのなんて簡単なんだ。

私の気持ちにloveの好意がなくたって、“フリ”をして甘え続ける事なんて簡単なんだ。




でも、そんな事出来なかった。





ジムでただ走り込む事も出来なくて、私は家でまるで引きこもりのように

ただ無情に進む時計の針の音を聞きながら過ごしていた。




『ただいま~』


真吾が仕事から帰ってきた。
私はおかえりとも言わずに真吾を見ていた。




―――真吾…


―――助けて…




『倖知っ!?!?』


そんなに驚かなくたっていいじゃん


でも…仕方ないかな。


私自身、真吾に抱きついたのなんて、いつ振りなんだろう…って感じだし。。





でも、真吾の胸に抱きついた時に感じた温もり……


うまく言えないんだけど、智哉とは違う…。


ここ!!って言えないけど、暗闇の心の隅っこがキュンとした…。




“1人”が怖くて、
“現実”が怖くて、
こんな“自分”が怖い。