「イセリア様

イセリア様お待ちください」

セバスチャンは先を歩くイセリアに言う。

「彼の者達は¨黒涙¨について何かを知っていた。

それは返答の不自然さから貴方も分かられたはずです。なのに何故!?」

「何故だと?

足を止めてまで道を教えてくれた恩人に、こちらの都合で再び足を止めるなど無礼極まりないからだ」

それだけ言うとイセリアはまた歩きだす。

「申し訳ありませんでした。以後勝手な真似は控えましょう。

イセリア様だんだんと陽が昇って参りました。羽織られたコートをお脱ぎになられては如何ですか?」

イセリアは空を眺め言う。

「ああ、そうするとしよう」

白いコートを脱ぎセバスチャンはそれを受けとり丁寧にたたみ、自らの左腕にかける。

コートの下から二枚翼の聖十字が見え、その中心に「Ⅰ」が描かれていた。

「再び合間みえる時がくれば自ずと分かろう。

もし彼が黒涙の情報を持っているのならば
悠久の騎士団第一分団長¨聖劍¨のイセリアの名に懸けて、その情報を頂くとしよう」