見えていたのは抜刀まで。 迫り来る爪とそれに反する緩やかな抜刀。 それは刄が現れる次第に、速力を上げていき。 切っ先が僅かに見えた瞬間には、もう緩やかな納刀の所作に入っていた。 オレは目を疑う。 振り返った人物の端整な顔立ちに、絹のような白い肌を染める猛獣の血に。 叫び声をあげることもできずに、命を摘み取られた熊の、その穏やかな表情に。 その全てに。