オレは目を瞑りゆっくりと回想する。

どれもが信じがたい。

しかし、そのいずれもがオレの目の前で確かに起きた。

「オーケイ、ブレイグルもブレイザーも認めるよ。

ヒュージもあんたらに何か関係しているんだろう。そして……」

オレは女の子に歩み寄る。

「……?」

汚れを知らない無垢な瞳。

まるでトンボの羽を笑ってむしりとる、子供のように純粋な光にオレは恐怖すら感じる。

「あんたはいったい何なんだ?」

じっと見つめる瞳。

女の子は不器用な笑顔で言う。

「ーーネオン。

私は……ネオン」

なんてこった。


ーー光だ。

幸か不幸か"不敗の兵器"と語られる彼女に与えられた名前は、"街を照らす光"。

生死の表裏論の如く、交わるはずのないそれらが同居する。

この世は全て『矛盾』で紡がれているのだ。

「オレはシド。ただの浮浪者だよ」

ネオンは表情を変えない。

だが少しだけ気の抜けた様な瞳になった様に思えて、思わずオレはネオンに笑いかけていたのだった。