双子月

「上手くいきましたね、ロミオ様」

「あぁ、さすがジュリエット、お前には頭が上がらないよ」

「女の武器は涙だけではなく、言葉をいかに巧みに操るか…ですわ」

「お前だけは敵に回したくないな」

「私がロミオ様の敵に回るなんて…天地がひっくり返っても有り得ません」

「お前の場合、その笑顔も武器の1つに数えた方が良いぞ」


「さて、ご冗談のやり取りをしている場合ではありませんわ…
ここからが本番です
大体、この屋敷の造りは理解出来ました…
後は手引きする者を探すだけです」

「そうだな、首尾よく事を運べ…
私の未来がかかっていると言っても過言ではないからな」

「ですから、誰に仰ってますの?
誰がそんなヘマをすると?」

「…主にそのような口をきく従者など、本当にこの世を探してもお前くらいのものだろうな」

「えぇ、ですから貴方様のお傍に仕えていられるのですわ」

「そうだったな…
早く行って来い
宴会が始まって呼び出される前に戻って来るんだぞ」

「承知しました、行って参ります」